第11回 商品開発力・設計力を高めるための施策

2019.04.15

第11回は支援技術開発時代の集大成として、前回までと一部重複しますが、改めて商品開発力や設計力を高めるための施策を自分なりに整理してお話ししたいと思います。

変革の時代の業務改革

現在は変革の時代です。自動車業界ではグローバル競争が一層激化し、自動運転や電動化等の次世代技術開発も加速しています。結果として開発現場では開発負荷が急増していますが、ベテランの退職が増加する一方で、働き方改革で高効率な働き方が求められ、多忙のあまり若手の育成に手が回らない現場も多くなってきました。

今こそ業務改革が必要な時です。優先度に基づき業務をコアと周辺に仕分けし、社内で取組む重点業務を絞り込みましょう。言うまでも無く現場に求められる最大のものは、時代や市場が求める独自技術や魅力商品の創出です。これこそが付加価値のより高い最重要のコア業務であり、将来に向けた先行開発に貴重な技術者を集中すべきです。魅力のない商品を高効率かつ高品質で開発しても価値は少ないのです。

選択と集中

他方、外部でもできる周辺業務については、海外企業が先行するように外部委託を検討する価値があります。戦略の本質は選択と集中で、自社では“何をやらないか”という判断が重要になります。MBD(モデルベース開発)導入や設計プロセス標準化等の周辺業務については、ワンストップでソリューションを提供可能な企業がありますので、まずは相談してみてはいかがでしょうか。なお、一歩踏み込んで、先行開発に従事する技術者を増やすために量産開発の開発効率向上に取組むという戦略的発想も必要になるでしょう。

開発プロセスの革新

次に、変革の一つとして開発プロセスの革新があります。制御システムが高度化および複雑化し、開発品質や効率に苦しんできた制御系において急速に開発プロセス革新が進行し、1DCAE(1次元シミュレーション)等の手法進化に支えられたMBDが普及拡大しています。時代に乗り遅れないように、ハードウェア系における開発プロセスの革新も着実に進めていきましょう。ちなみに、前回も説明しましたように、開発上流の初期設計段階のシステム機能設計が鍵になりますので、設計部門が取組むべき設計プロセスの革新です。設計は開発部門の上流に位置し、図面に技術やノウハウを集大成する役割があり、開発プロセス革新でもリーダーシップを期待したいと思います。なお、ハードウェア系MBDを制御系MBDと区別するために、個人的にはMBD手法を応用した“モデルベース設計”と呼んでいます。

整理すると、私は設計力強化のための本質的な重点施策の柱は以下の2つだと考えています。

①モデルベース設計; 制約条件の中で、必要な機能を最小のコストや重量で実現できること

・制約条件となる設計要件類(信頼性要件、製造要件等)を整備すること
・商品性(機能や性能)を最適化する設計プロセスを構築すること

 ②設計プロセス標準化; 新商品を迅速に市場投入できること

・プロセスを標準化し、①と合わせて設計手戻りを未然防止すること

②については、ベテランの設計ノウハウを資産化および共有することで、若手でもベテラン並みの安定した設計が可能となりますし、ひいては将来の自動設計につながっていきますので、是非本格的に取組んでいただきたいと思います。

設計力強化に近道はなく、多大な工数と時間が必要です。特にモデルベース設計は、目的に合わせてCAD・CAE・最適化ソフト等を組み合わせる必要があり、モデルの精度検証も含めて、設計だけでなく解析や実験を含めた全部門の参画が不可欠です。設計力強化に向けた企画や推進管理は自社で取組み、作業は専門企業に委託するのが現実的な策となるでしょう。繰り返しになりますが、設計者には、社内でリーダーシップを発揮し設計力強化や設計プロセス整備に向けて積極的に行動することを期待したいと思います。

次回は最終回として、本シリーズを振り返って私の経験や想いを整理しつつ、次なる課題提起もしてみたいと考えています。