電子マンガ 『全巻一冊』 の超高精細画質の秘密に迫る!

2018.12.20

2017年9月の北斗の拳での発表を皮切りに、続々とビッグタイトルをリリースしている電子マンガの全巻一冊。12月には10タイトル追加を発表し、現時点合計で16タイトルの発売が予定されています。そんな電子マンガ『全巻一冊』、今までたくさんのメディアにて紹介いただきましたが、今回は開発担当者自らが ”超高精細画質の秘密” について、開発者視点で掘り下げてご紹介させていただきます。

これを読み終わるころには、電子マンガ『全巻一冊』が電子書籍でありながら従来の電子書籍とは全く異なるものであることを知っていただくとともに、この超高精細マンガを体験したくなるはず!?

なぜ超高精細画質なのか?

電子マンガ『全巻一冊』の魅力の一つは、これまでの電子書籍にはない画質の美しさ。電子書籍の代表的製品kindle Oasisと全巻一冊で画質比較をしてみると、結果は一目瞭然です。

写真① 線の再現性:細かい線まで再現できており、表情から感じとれる感情がまるで異なる(左:全巻一冊、右:kindle Oasis)©武論尊・原哲夫 / NSP 1983, 版権許諾証 EJ-708(※画像をクリックすると拡大します)
写真② 迫力・躍動感:線の太さやトーンの濃淡まで再現することで迫力を感じられる(左:全巻一冊、右:kindle Oasis) ©武論尊・原哲夫 / NSP 1983, 版権許諾証 EJ-708(※画像をクリックすると拡大します)
写真③ 文字の見やすさ:文字がくっきりとして読みやすく没入感を妨げない(左:全巻一冊、右:kindle Oasis)©武論尊・原哲夫 / NSP 1983, 版権許諾証 EJ-708 (※画像をクリックすると拡大します)

こう紹介すると開発者のひいき目に思われるかもしれませんが、おそらく誰が見ても全巻一冊の方がキレイに表示されているという印象を持たれたのではないでしょうか。同じ電子書籍にもかかわらず、なぜこのような差が出るのか?この謎を解明していきます。

実は同じパネル!?

今回画質の比較を行った二つの製品(全巻一冊、kindle Oasis)、実はどちらも使用している電子ペーパーのパネル(以後、パネル)は全く同じものなのです。

では何故、同じパネルを使用しているのに画質に大きな差が出るのか?それには2つの理由があります。

電子書籍では異例とも言える大容量データ

既存の電子書籍は、一般的にepubというフォーマットが使用されています。これらの画像データはページ1枚当たり200kバイト程度の容量となり、ダウンロードして読むのに適します。

一方、電子マンガ『全巻一冊』の画像データは、実際のコミックで使用している原画に近い印刷用データが元となっており、さらに作品ごとに個別に画像調整までしています。そのため、全巻一冊の画像データは、1ページ当たりの容量はepubの約6倍に相当します。既存のネットワークモデルに乗せるには適しているとは言い難いですが、その分画質は圧倒的に良いです。(情報量が6倍になるのだから当然といえば当然ですね。)これによって全巻一冊は、作家さんが描いた一本一本の線を忠実に再現でき、作品の世界観を損なうことなく伝えられるようになっていると自負しています。

大容量データ(=高画質データ) だからこそカセット式

どこでも1話ずつダウンロードしてマンガを読めるのは非常に便利です。でもその反面、時間つぶしとしてマンガが「消費」されるのは少し残念な気がします。できればマンガ本来の画質によって、その物語に完全に入り込み、ワクワクしながらマンガを楽しんでほしいと思うのです。カセットという形で所有欲を満たすという目的もありますが、より高画質で作品を楽しんでいただきたい、そんな思いから、大容量データ(高画質)を実現するためにあえてカセット方式を採用しました。

画質を支配する表示パラメータ

電子ペーパーに馴染みのない方も多いと思うので、電子ペーパーがどのようにして絵や文字を表示しているのか簡単にご紹介します。

電子ペーパーの中は、白色の粒子と黒色の粒子が入ったカプセルで満たされています。このカプセル内の白色と黒色の粒子を上下に動かすことで、画面上の白色と黒色を表現し、絵や文字を表示させます。つまり、この粒子の制御の精度がそのまま画質の良さとして表れることになるのです。

この粒子を制御しているのが表示パラメータであり、画面の更新速度や、色の濃さ、鮮明さ(にじみ)、残像の量が決まります。電子ペーパーの特性上、じっくりと時間をかけて画面更新する方が元画像の残像なく、キレイに白と黒を表示できます。そのため、画面更新速度と画質はトレードオフの関係にあると言えるのです。

全巻一冊では、紙のコミックと同様のマンガ体験を提供できるように、更新速度の速さと画質のキレイさの両立を目指しました。

そして、この両立が、ものすごく大変だったのです・・・。

初めて電子ペーパーを手にしてから意図した絵を表示させるまでは1〜2か月程度で実現できましたが、”速く”そして”キレイ”に絵を表示させるためには、さらにその倍以上の時間と労力を要しました。しかしその結果、画面更新速度においてもパネルスペック限界まで追い込みながらも、高画質を実現することができたのです。これこそが、他の電子書籍には真似できない全巻一冊の大きな魅力のひとつになりました!

全巻一冊だからこそ実現した”原画集”

ここであらためて、全巻一冊に表示した原画の画像を見てください。

写真④ 全巻一冊に表示したさいとう・たかを先生の原画 ©️さいとう・たかを/さいとう・たかをプロダクション(※画像をクリックすると拡大します)
写真⑤ 全巻一冊に表示したさいとう・たかを先生の原画 ©さいとう・たかを/さいとう・たかをプロダクション(※画像をクリックすると拡大します)

線の表示の微細な表現はもちろんのこと、白の塗りまで確認できます。さいとう・たかを先生には、以前、別の作品で全巻一冊を見ていただく機会があったのですが、その際に「本当によく線が出ている。」というコメントをいただけたと聞いて、開発者としてこれ以上の喜びはないなと思いました。全巻一冊の魅力が受け入れられ、作家さんの心を動かした瞬間でした。

「作家を育てるメディア」さいとう・たかを氏が認めた『全巻一冊』
 さいとう・たかを劇画文化財団理事 山内康裕さんインタビュー(マンガ新聞)
 http://www.manga-news.jp/news/body/2429

今回、全巻一冊シリーズに、さいとう・たかを先生の傑作『無用ノ介・サバイバル』が加わります。この作品には、全巻一冊シリーズとしては初めてとなる”原画集”の収録が実現します!

さらっと書いてしまいましたが、ここまでの苦労は計り知れないものでした。大勢の方々の協力があり、やっとここまで来ることができた、と感じています。他社が容易にたどり着ける領域ではないと自負しています。

現在、蔦屋書店全8店舗にて全巻一冊のサンプルを体験いただけます。ぜひ一度手に取って、”見る”のではなく”読書”を体験してみてください。「あ!なるほど!」といった、言葉だけでは表しきれな魅力を理解していただけるはずです。

作家さんの魂が込められた繊細な線、そこから感じ取られるリアリティや躍動感!これまで電子書籍では体感できなかった感動を、ぜひ超高精細マンガ『全巻一冊』で味わってください!!

全巻一冊公式サイト: https://progresstech.jp/zenkan/

 

現在、新ラインナップ追加を記念して、全巻一冊デバイス本体+作品のセットを特別価格にてお求めいただけます。全巻一冊をお得に購入できるこの機会をお見逃しなく!